木村 悟志:ETF市場の今後と日本市場の展望

木村 悟志:ETF市場の今後と日本市場の展望
4月1日、ロイターからの報道によると、スポットビットコイン上場投資信託(ETF)の誕生と人工知能への新たな投資方法の導入が、2024年第1四半期のETF市場における他のトレンドを圧倒しています。しかし、市場の専門家たちは、これらの進展が他の投資信託や単一国ETF、債券ETFなどのテーマにも注目を集めていると指摘しています。これらの商品は、2024年までにさらなる成長が期待されています。以下では、市場参加者とアナリストが予測する、第2四半期以降のETF市場の主要な傾向を紹介します。


日本市場への注目
1989年以降で初めて、日経平均株価が最高値を更新したことを受け、投資家たちは日本に焦点を当てた単一国ETFへと目を向けています。ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズによると、第1四半期の終わりにかけて、ETFグループへの資金流入は33億ドルに達し、2023年全体での流入額62億ドルの半分以上を占めました。特に、ウィズダムツリー・ジャパン・ヘッジ・エクイティ・ファンドへの注目が高まっており、Vetta Fiのデータによると、このファンドには約9億9600万ドルが流入しました。円が34年ぶりの安値を記録する中、この為替リスクをヘッジするファンドは、投資家やトレーダーにとって特に魅力的な選択肢となっています。
「マグニフィセント・セブン」を超えた市場の多様化
ステート・ストリートの分析によると、米国株式市場のリーダーシップが、超大型テクノロジー株を超えて他のセクターへと広がっていることが示されています。マシュー・バルトリーニ、ステート・ストリートのSPDRアメリカ調査責任者によれば、テクノロジー中心のETFは年初の3ヶ月で90億ドルの資金を集めましたが、3月だけでの流入は5億ドルに過ぎませんでした。これに対し、エネルギーETFは12億ドル、産業ファンドは10億ドル、不動産ETFは20億ドルの資金流入を記録しました。
ハートフォード・ファンズのブライアン・クラウス氏(システマティックETF担当シニアバイスプレジデント)は、投資家が第1四半期にバリュー株に対する関心を高めたことを指摘しました。ラッセル1000バリュー指数は3月に5.25%上昇したのに対し、ラッセル1000グロース指数は2.78%の上昇にとどまりました。
これらの分析から、ETF市場は新たな技術や地政学的要因に敏感に反応し、投資家の行動と市場の動向が多様化していることが読み取れます。第2四半期以降も、これらの傾向がETF市場の発展にどのように影響を与えるかが注目されています。
連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策の調整に向けて利下げの可能性に近づく中、投資の世界では焦点が多様化しています。にもかかわらず、アクティブ運用の債券ETFは依然として注目を集め、資産を増やし続けていることが特筆されます。特に、社債ETFへの投資が活発になっており、「リスクオン」のローテーションがその背後にあるとシティグループのETF戦略ディレクター、ドリュー・ペティット氏は指摘します。ペティット氏はこの分野での「リスクテイクが特に積極的になっている」と警告しています。
ETF市場における新規プレーヤーの出現と既存大手の動向は、業界の動きをより鮮明にしています。ブラックロックは新しいジャンルへの参入と動き出しを見せています。一方で、バンガードとステート・ストリートは、8.2兆ドルにも及ぶ米国ETF市場の資産の約75%を占め続けており、新規参入者は比較的急速な成長を遂げています。例えば、フィデリティ・ワイズ・オリジン・ビットコイン・ファンド(FBTC.Z)は、フィデリティのETF資産全体の16%を占める急増を引き起こし、バンガードやステート・ストリートの成長率を大きく上回っています。また、インベスコをはじめとする新たなジャンルへの参入者や、Capital Group、Dimensional Fund Advisors、ヤナス・ヘンダーソンといった小規模なプレーヤーへの市場の注目も見逃せません。
シティグループのペティット氏は、現在の投資家が新たなリスクよりも市場全体へのエクスポージャーを優先していると述べています。しかし、今後数ヶ月間で地政学的な不安や市場のボラティリティが高まると予想される中で、リスクへの意識が高まると、投資家はセクターファンドなどより具体的でターゲットを絞ったETFに関心を移す可能性があります。これらの発展は、ETF業界における新たなリスクへの対応と戦略の再考を求めています。